毎日歯を磨いているから虫歯や歯周病(歯槽膿漏)の心配はないと思っています。
かつては私もその一人でした。でも、歯科医院で仕事をするようになって、それが幼少期に受けた躾や教育で無残にも育まれてしまった大いなる勘違いと知りました。そう、病気の予防や治療と同じで、歯科でも四半世紀前の予防や治療など、「昔はよくそんなこと言いましたね」!!!なんですよ。
では、最新の予防・治療はどうなっているのか?!といいますと、予防は歯科医院を利用する!のです。それは私が歯科医院で仕事をしているから宣伝しているだけじゃないか?!なんて言われそうですが、別に私が働く歯科医院に来ていただく必要などありません。お近くの歯科医院で相談していただければいいことなのです。
正直なことを言います。もし、日本の全国民が予防歯科外来を利用し、虫歯や歯周病になりにくくなったとします。すると、歯科医院はかなりつぶれるでしょうね。やっぱり治療をした方がお金になりますから。大切なのは自分自身の歯であって、コンビニ並みに存在する歯科医院の存続ではないのです(苦笑)。
さて、本題に移りましょう。
第1のポイントは、歯石は必ず貯まるということです。どれだけ一生懸命歯を磨いても、1年経てばそれなりに歯石が貯まります。ですから、年に1度は歯科医院に行って歯石除去の処置を受けることが虫歯や歯周病を高確率で予防する手段となります。
この歯石、家庭犬(ペット)でちょっと例え話をしましょう。
犬も歯石が貯まります。自分で歯を磨くことはできませんし、人間が手を出そうにもなかなかうまく行かなかったりしますから。ですから歯石が貯まりにくいドッグフードや歯石を落とす犬用おやつが存在するのです。ですが、歯を磨いているわけではないので歯石は貯まります。家庭犬も1~3年周期で歯石を落とします。放置しておくと・・・歯の周りを硬い歯石が囲い、歯ぐきではなく歯石で歯を支えるような状態になります。この状態で歯石を除去すると・・・歯が抜け落ちます。ですから、歯周病のリスクが高くても、歯周病になっていたとしても、歯石を除去することができないのです。
歯石除去をしないでおくことは、家庭犬の例でわかるとおり、悔やむに悔やめない状態に陥ることを意味します。歯科医に「歯を抜いて入れ歯かインプラントにしましょう」と提案されるわけです。こうならないためにも、歯石除去が大切なのです。
なお、歯科医や衛生士から歯石除去の間隔を広げてもいいと言われれば、何の問題もありませんので、その指示に従ってください♪
第2のポイントですが、歯周病は日本人にとってとても身近な病気ということです。ぶっちゃけた話、歳を取ったら誰でも歯周病になるんです。ただ、歯が抜けたり歯ぐきが腫れたりして大変な状態になるのか、自覚症状がないのか、という違いだけで、20代、30代の頃から始まります。よく歯ぐきの病気と勘違いされていますが、実際は歯槽骨という歯を支えている顎の骨が減退していくことによって起こります。ですから、若い頃から歯石除去などの適切な処置を受け続けてきた人の中には、歯周病だけど何の心配も要らないという人もいます(歯槽骨は減っていても歯科医が指摘すべき症状がない状態/決して自覚症状がないという意味ではありません)。
大切なのは、歯周病になりやすいタイプなのかどうかを早い内に見極めることです。これは歯周病専門医であれば、口を開けた瞬間に勘でわかるそうです。もちろんレントゲンを撮った結果で最終判断をしますけどね。また専門医でなくても、定期的に通うことで気付いてくれることが多いはずです。
この「なりやすさ」に応じて、自宅でのケア方法を選択するのが歯周病を悪化させないコツなのです。なにしろ、歯周病はいわゆる「手遅れ」になるまで症状が出てこない沈黙の病です。歯ぐきに違和感がある(腫れている、出血する、何かおかしい)状態は、癌で言う第3期くらいと深刻に受け止めるくらいがちょうどいいかもしれません。
第3のポイントは、一生懸命な歯磨きほどたちが悪いことです。黄ばみが気になったり、ざらつきが気になったり、といろいろあると思いますが、硬めの歯ブラシで、力を入れて、研磨剤入りの歯磨き粉をたっぷり付けて、ゴシゴシこすると・・・・・歯ぐきも歯も削れてしまいます。表面が削れた歯は虫歯になりやすく、削れた歯ぐきは炎症を起こし、大変なことになることも多々あります。うっすらエナメル質が削れた程度ならば歯科医院でフッ素をたっぷり塗って貰えば回復する可能性もありますが、削れてしまった歯ぐきはどうすることもできません。歯ぐきに傷がついたと思ったら要注意です。
歯ブラシは硬くても「ふつう」、歯周病の方や歯ぐきに炎症のある方は「柔らかめ」を選ぶことが無難です。これでは歯を磨いた気になれないかもしれませんが、慣れの問題なので、しばらく我慢してください。また、歯磨き粉は少量でよく、研磨剤の入っていないモノを選ぶのもよいかと。そして、軽いタッチで磨くことが大切です。力を入れると歯ブラシの毛先がまっすぐ歯に当たらないためきちんと歯垢を落とすことができないのです。柔らかい歯ブラシでも正しい磨き方をすればちゃんと歯垢を落とすことができるのでご安心を♪正しい磨き方ができていれば、1ヶ月使っても歯ブラシの毛先が酷く広がることはありません。それでもコシなどが無くなってきていますので1ヶ月程度で取り替えたいものですが。
そして歯ブラシも適材適所です。奥歯専用の歯ブラシを使ってみるのも良いと思います。もちろん歯間ブラシ・フロス・糸ようじなどを使ってケアすることも大切です。
私の場合はまずフラットヘッドの歯ブラシで磨き、その後で極細毛の歯ブラシで歯と歯の間や歯と歯茎の隙間などを磨きます。時にオーラ2のミラクルキャッチ毛を使うこともあります。ちなみに私が使う歯磨き粉は殺菌力があって研磨剤とフッ素の入ったタイプ、色素沈着を除去するタイプ、研磨剤レスのフッ素入りの3種類です。研磨剤入りと色素沈着系は週に1回程度使います。なお歯並びが良いため歯間ブラシは入らず、フロスはちょっと太いので、一番細い糸ようじを愛用しています。
とりあえず、私の愛用品をご紹介。Check-Up gel はお店で売っていないので歯科医院でお求めください♪(楽天で取り扱ってるお店があったけどどうして取り扱っているのかは謎)。
とにもかくにも、歯磨きの「ていねいに」はやさしくが大前提。ゴシゴシ1分より、ゆっくりやさしく3~5分がオススメです。
なお、一番気をつけたいのは「磨いたつもり」です。1分歯磨き、洗口剤(デンタルリンス)で口をゆすいだりガムを噛むだけで実際に歯を磨いていない、この歯ブラシはよく磨ける、この歯磨き粉はよく効くなどのうたい文句があるから大丈夫と思って誤った歯磨き方を実践している、歯磨き粉の香料(ミント等)ですっきりした気になっている・・・・などです。1日に1回(できれば唾液で口の中を洗い流せない睡眠の前・・・夕食後)は丁寧に磨いてみてください。
ただし、まずは自分の歯磨きが正しい方法だったかどうか、歯科医院でチェックを受けることを強くオススメします。